kokugo.jpg 国語学は、国語の音韻、文字・表記、文法、語彙などについて、上代から近・現代にわたり、通時的・共時的に研究する。本研究科においては、「日本語学」が現代語を主な対象とするのに対し、「国語学」では、通時的研究に重点を置き、時代と遡った文献に見える国語を主な対象とする。

文献により実証することを重視するので、文献をどう読むかという点で「日本文学」の知識も必要で、研究活動をともにしている。

2019年度の大学院生は19名、うち留学生は5名である。指導教員ごとの、修士論文・博士論文の個別指導と、3名の教員合同での論文作成演習を行う。「日本文学」「比較文学」とともに、10月に修士論文中間発表会、7月・11月に大学院生研究発表会を行う。学会での研究発表なども勧めている。

その他、国語語彙史研究会・土曜ことばの会の事務局を置くなどしている。

教員紹介

教授 岡島 昭浩  教授 岸本 恵実

教授 岡島 昭浩

p_okajima2017おかじま あきひろ
1961年生。1987年、九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退。文学修士(九州大学、1986年)。九州大学文学部助手、京都府立大学女子短期大学部講師・助教授、福井大学教育学部(教育地域科学部)助教授、本研究科助教授・准教授を経て2010年現職。
専攻:国語史・日本語学史
研究紹介
日本における漢字音の歴史、漢字音研究の歴史について研究することを足がかりにして、国語音韻史、日本語学史、辞書史についても研究している。なお、専攻に書いてある「日本語学史」は、日本語研究の歴史と、日本における言語研究の歴史を合わせた呼び名のつもりである。また、研究とは言えないような、言語に関する意識の歴史をも含めて研究したいと思っている。
メッセージ
過去から現代まで伝わって来たものを、我々は後世に伝えて行けるだろうかと不安になることがある。見出した資料が複写されることもなく天下の孤本として存在しているのを見たり、長く閲覧する人の居なかった書物であれば他所にあろうとなかろうと棄ててよいという意見を聞いたりする時である。文学研究に志す人も、よいものだけ伝えればよいと思うのではなく、多くの情報を伝えるよう考えて欲しい。
主要業績
『シリーズ日本語史2 語彙史』(岩波書店2009、共著);「「ひいやり・ふうわり」型から「ひんやり・ふんわり」型へ」『国語語彙史の研究36』(和泉書房 2017);「明治中期の回覧雑誌「共究会文章会」」『大阪大学大学院文学研究科紀要』54;「半濁音名義考」『筑紫語学論叢』(風間書房2001);「江戸期韻学における音韻日月燈」『明清時代の音韻学』(京都大学人文科学研究所2001)
概説・一般書
「元禄の辞書」(『元禄文学を学ぶ人のために』世界思想社2001)

2018年 9月更新

教授 岸本 恵実

p_kishimoto2019.jpgきしもと えみ
1972年生。2000年、京都大学大学院文学研究科国語学国文学専修博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)(京都大学、2003年)。大阪外国語大学助手・講師・助教授、国際基督教大学准教授、京都府立大学准教授、2017年4月大阪大学文学研究科准教授を経て2022年4月より現職。
専攻:国語学
研究紹介
16・17世紀、ザビエルに始まる日本宣教に伴って作られたキリシタン資料、なかでも、ラテン語・ポルトガル語・日本語対訳の『羅葡日辞書』(1595)や日本語・ポルトガル語対訳の『日葡辞書』(1603-04)などについて、当時の日本語の意味や用法がどのように記されているか、どのように編纂されているか、国内外の他の書物とどのような関係にあるかなどを研究しています。
メッセージ
キリシタン資料は、国語学において、とくに音韻史・文法史上重視されてきました。近年はさらに、他の日本語文献と同様、新しい視点からの研究も活発になっています。ほぼ同時期の、中世末期から近世初期の様々な日本語文献との比較はもちろん、宣教師たちの知的基盤であるヨーロッパの文献や、アジア・アメリカなど他の宣教地で作られた現地語文献との比較も本格的に展開されるようになりました。今後国語学で明らかにされる成果とその発信は、国内外で期待されているといえるでしょう。
主要業績
『ヴァチカン図書館蔵 葡日辞書』京都大学文学部国語学国文学研究室編・臨川書店(1999)翻刻・索引・解説。“The Process of Translation in Dictionarium Latino Lusitanicum, ac Iaponicum .” Journal of Asian and African Studies 72 (2006).「宣教を意識した『羅葡日辞書』の日本語訳」『訓点語と訓点資料』第121輯(2008)。“Translation of Anatomic Terms in Two Jesuit Dictionaries of Japanese.” Zwartjes, Otto, Zimmerman, Klaus and Schrader-Kniffki, Martina eds. Missionary Linguistics V: Translation theories and practices , John Benjamins, Amsterdam (2014).『フランス学士院本 羅葡日対訳辞書』清文堂出版(2017)解説。
概説・一般書
「キリシタン語学の辞書」豊島正之編『キリシタンと出版』八木書店(2013)

2022年 4月更新

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