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日本史学

本講座では、古代2・中世2・近世1・近代2(助教1)の計7名の教員を揃え、充実した研究・教育活動を行っています。近年の日本史研究の高度化にはめざましいものがありますが、私たちは演習での厳密な資史料の読解や論文の検討を通して、精緻な実証力や独創的な構想力の養成に努めています。

また、定期的に院生発表会を行って、時代や分野の枠にとらわれない幅広い視座やプレゼンテーション能力の育成に配慮しています。研究室では自主的な勉強会が盛んに行われ、学会活動も活発です。春と秋には研究室旅行があり、フィールドワークに汗を流し、夜のコンパでは大いに歓談し交流を深めています。研究室のこの厳しく和やかで開放的な雰囲気は、今後とも大切にしたいと考えています。

教員紹介

教授 村田路人 教授 飯塚一幸教授 川合康

准教授 市大樹 准教授 野村玄

教授 村田路人

むらた みちひと
1955年生。1977年大阪大学文学部史学科卒業。1981年大阪大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程中途退学。文学博士(大阪大学、1994年)。大阪大学文学部助手、京都橘女子大学文学部専任講師、同助教授、大阪大学文学部助教授を経て、2002年4月より現職。
専攻:日本近世史
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研究紹介
日本近世における支配の特質を研究している。特に、畿内近国地域を対象に、支配の実現メカニズムという観点から、非武士身分の者の支配への関わり、民意確認のシステム、触の伝達経路などを明らかにし、従来とは異なる近世支配像の提示を行っている。また、江戸幕府の地方支配機構の変化を幕政史との関わりにおいて検討するとともに、近世の治水を新たな視角からとらえ直そうと努めている。
メッセージ
どの学問分野についてもあてはまることだが、まずは「視点を変える」という姿勢をたえず持ち続けることが大切である。一見やり尽くされたと思われるテーマでも、少し視点をずらしてみると、いくらでも課題が見つかるものである。そして、歴史学の場合は、史料に徹底的にこだわることが求められる。同じ史料でも、書かれている文章の再解釈はもちろん、史料の存在形態や筆跡も含めた史料分析によって、従来の解釈や位置づけが覆されていく。地道な努力が必要だが、史料の新しい読み方ができたときの楽しさは格別である。
主要業績
『近世広域支配の研究』(大阪大学出版会1995、単著);「近世の地域支配と触」(『歴史評論』587号、1999);「元禄期における伏見・堺両奉行の一時廃止と幕府の遠国奉行政策」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第43巻、2003);「幕府上方支配機構の再編」(大石学編『日本の時代史16 享保改革と社会変容』吉川弘文館2003);『日本史リブレット93 近世の淀川治水』(山川出版社2009、単著);「堤外地政策からみた元禄・宝永期における摂河治水政策の転換」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第50巻、2010)
概説・一般書
豊能町史編纂委員会編『豊能町史』本文編(豊能町1987、共編著);新修大阪市史編纂委員会編『新修大阪市史』第4巻(大阪市1990、共著);羽曳野市史編纂委員会編『羽曳野市史』第二巻本文編2(羽曳野市1998、共著);藤本篤監修『江戸時代人づくり風土記27・49大阪見る・読む・調べる 大阪の歴史力』(農山漁村文化協会2000、共編著);今井修平・村田路人編『街道の日本史33 大坂―摂津・河内・和泉―』(吉川弘文館2006、共編著);豊中市史編さん委員会編『新修豊中市史 第一巻通史一』(豊中市2009、共編著)

2016年 11月更新

教授 飯塚一幸

いいづか かずゆき
1958年生。1988年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。文学修士(京都大学、1985年)。舞鶴工業高等専門学校専任講師、佐賀大学助教授、大阪大学准教授を経て、2010年1月より現職。
専攻:日本近代史
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研究紹介
近代化による地域社会の変容を様々な視点から検討することで、伝統と近代の問題を研究している。特に、地方政治の担い手であった地方名望家について、欧米起源の諸学を近代日本に導入する際に果した役割などにも着目しながら、多角的に分析している。また、近年は士族反乱や自由民権運動に関する研究にも手を広げている。
メッセージ
近年、近代史に限らず史料へのアクセスは飛躍的に改善され、史料の森への旅は格段に容易になりつつある。けれども、大量の史料からテーマを発見し問題をつかみ出すことは難しい。歴史学を学ぶ者としてのセンスを問われるのもそこだ。ならば、そうした力を身につけるにはどうすればよいか。私は社会への批判精神に富んだ関心を持ち続けることが肝要だと思う。率直に議論を闘わすことのできる集団も重要だろう。新しい発想で史料と格闘し、問題を徹底的に考え抜く気迫を持った若い世代が登場してほしい。我々も「昭和の老人」扱いされぬよう自戒しつつ、皆さんを待っている。
主要業績
『近代日本の軌跡3 日清・日露戦争』(共著、吉川弘文館、1994年);『田中秀央 近代西洋学の黎明――『憶い出の記』を中心に――』(共編著、京都大学学術出版会、2005年);「国会期成同盟第二回大会の再検討」(『九州史学』第143号、2005年);「京都府における国会開設運動の展開――私擬憲法案「大日本国憲法」の成立と沢辺正修――」(『史林』第92巻第2号、2009年);「国会期成同盟第二回大会と憲法問題」(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第51巻、2011年);『原敬と政党政治の確立』(共著、千倉書房、2014年)
概説・一般書
『京都府の歴史』(共著、山川出版社、1999年);アエラムック『日本史がわかる。』(共著、朝日新聞社、2000年);『佐賀県議会史続二』(共著、佐賀県議会、2002年);『宮津市史 通史編下巻』(共著、宮津市、2004年);『新修彦根市史 通史編近代』(共著、彦根市、2009年);『講座明治維新5 立憲制と帝国への道』(共編著、有志舎、2012年);『平和研究入門』(共著、大阪大学出版会、2014年)

2016年 11月更新

教授 川合康

かわい やすし
1958年生。1987年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位修得退学。文学博士(神戸大学、1994年)。樟蔭女子短期大学助教授、東京都立大学准教授、日本大学教授を経て、2012年4月より現職。
専攻 日本中世史
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研究紹介
日本中世の政治史、具体的には、平安時代末期から鎌倉時代にかけての政治史を中心に取り組んでいる。特に、日本の国家体制の在り方を大きく変えることになった鎌倉幕府権力の成立を、院政期武士社会の特質や治承・寿永内乱期の戦争の実態からとらえる研究を進めている。最近は、そのような研究の成果を踏まえて、平氏一門の必然的滅亡を説く『平家物語』の成立圏を歴史学的に考察する作業や、鎌倉街道の成立を幕府に結集した東国武士のネットワークからとらえる研究も行っている。
メッセージ
平安時代や鎌倉時代の歴史と聞くと、新発見の史料がそれほど出てくるわけでもなく、もう確定した事実ばかりで、あまり研究する余地はないと思われるかもしれない。しかし、現代的な関心に基づいて研究史を学び、史料を読み込んでいくと、新しい論理の発見や発想の転換がもたらされ、「常識」化していた従来の歴史像を書き換えることが可能となる。私の専門分野に限っても、日本史の教科書に記されているような周知の事実や事件をめぐって再検討が必要となっており、そのような歴史学の醍醐味をともに味わってほしい。
主要業績
『鎌倉幕府成立史の研究』(単著、校倉書房、2004年);『地域社会からみた「源平合戦」』(共著、岩田書院、2007年);『秩父平氏の盛衰』(共著、勉誠出版、2012年);『岩波講座日本歴史 第6巻 中世1』(共著、岩波書店、2013年);『中世の人物 京・鎌倉の時代編 第1巻』(共著、清文堂、2014年);「鎌倉幕府の草創神話」(『季刊東北学』27号、2011年);「鎌倉幕府・戦争・『平家物語』」(『宮城歴史科学研究』68・69号、2011年);「鎌倉幕府の成立を問い直す」(『歴史地理教育』815号、2014年)
概説・一般書
『源平合戦の虚像を剥ぐ』(単著、講談社、1996年、のち講談社学術文庫、2010年);『源平の内乱と公武政権』(単著、吉川弘文館、2009年);『平家物語を読む』(編著、吉川弘文館、2009年);『週刊 新発見!日本の歴史06 源頼朝と武家政権の模索』(責任編集、朝日新聞出版、2013年);『高校日本史B』(共著、実教出版、2014年);『大阪狭山市史 第一巻 本文編』(大阪狭山市役所、2014年)

2016年 8月更新

准教授 市大樹

いち ひろき
1971年生まれ。2000年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。文学博士(大阪大学、2001年)。奈良文化財研究所研究員、同主任研究員を経て、2009年4月より現職。日本学術振興会賞(2012年)、日本学士院学術奨励賞(2012年)、濱田青陵賞(2013年)、古代歴史文化賞大賞(2014年)。
専攻:日本古代史
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研究紹介
学問的にいくつかの理由もあるが、一番は旅行が好きだということもあって、学生・院生時代は古代交通史の諸問題に取り組んできた。その後、奈良文化財研究所では、古代都城の発掘調査と木簡整理を日常業務とし、特に飛鳥・藤原地域出土の7世紀木簡の研究に力を注いできた。阪大への異動とほぼ重なって、『飛鳥藤原木簡の研究』を一応まとめることができたので、今後は交通史の問題に重点をおきたいと考えている。文献史学の枠にとらわれず、考古学をはじめとする隣接分野の成果をいかに組み込むかが大きな課題である。
メッセージ
日本古代史の論文を執筆するためには、相対的に数の少ない史料を突き詰めて読み込み、膨大な研究史を吸収・理解した上で、独自の見解をださなければならない。じっくりと取り組む必要があることはいうまでもないが、あまり根を詰めすぎると、見えるものも見えなくなってしまう。まったく別のことをやっているとき、ふとわかる瞬間は誰にもあるに違いない。そのためには、適度な息抜き、心の余裕が必要である。自分の狭い専門の枠に閉じこもらず、旺盛な知的好奇心をもって、さまざまな分野の人たちと積極的に交流してほしい。
主要業績
『飛鳥藤原木簡の研究』(単著、塙書房、2010年);『評制下荷札木簡集成』(編著、東京大学出版会、2006年);『飛鳥藤原京木簡1―飛鳥池・山田寺木簡―』(編著、吉川弘文館、2007年);『飛鳥藤原京木簡2―藤原京木簡1―』(編著、吉川弘文館、2009年);「御食国志摩の荷札と大伴家持の作歌」(『萬葉集研究』第33集、2012年);「日本古代伝馬制度の法的特徴と運用実態―日唐比較を手がかりに―」(『日本史研究』544号、2007年)
概説・一般書
『飛鳥の木簡―古代史の新たな解明―』(単著、中央公論新社、2012年);『すべての道は平城京へ―古代国家の〈支配の道〉―』(単著、吉川弘文館、2011年);『古代地方木簡の世紀』(共著、サンライズ出版、2008年);『週間日本の歴史10 飛鳥・藤原京の理想と現実』(共著、朝日新聞社、2013年);『古代日本と古代朝鮮の文字文化交流』(共著、大修館書店、2014年)

2016年 11月更新

准教授 野村玄

のむら げん
1976年生まれ。2004年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(大阪大学)。大阪青山短期大学専任講師、防衛大学校講師、同准教授を経て、2016年4月より現職。
専攻:日本近世史
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研究紹介
日本の国家体制における天皇の地位・権能の意味について関心がある。織豊期や江戸時代の政治権力が実質的な政権運営を可能としながらも、天皇を完全に無視できずにいた理由は何かという素朴な疑問が出発点であった。実はこの疑問は、日本国憲法下における天皇が国政に関する権能を有しないとされながら、政治にあるインパクトを与え続けていることを見て生じたものでもあった。最近は、前後の時代の研究成果をも積極的に参照し、近世の天皇の歴史的特質をより浮かび上がらせ、近現代への展望を得たいと考えている。
メッセージ
これほど社会が混迷の度を増すと、少しでも先を見通して安心したい。それは誰しも同じだ。ところが、歴史家は過去に目を向ける。この大変な現代に、なぜ自分は敢えて過去を見つめ、なぜその研究テーマを選ぶのか。自分の研究行為の意味とは何か。なぜ自分は今後その研究対象と関わり続けるのか。これらがわからなくなってしまうと、研究行為は続けられなくなる。わからなくなったら、立ち止まってよい。いや、立ち止まるべきだ。学生時代はそれが可能だ。焦らず、自分の研究テーマ(なすべきこと)を見つけてほしい。
主要業績
野村玄『日本近世国家の確立と天皇』(清文堂、2006年)、野村玄『徳川家光―我等は固よりの将軍に候―』(ミネルヴァ書房、2013年)、野村玄『天下人の神格化と天皇』(思文閣出版、2015年)、野村玄「徳川家康と朝廷」(笠谷和比古編『徳川家康 その政治と文化・芸能』宮帯出版社、2016年)。
概説・一般書
野村玄「愚紳」(西尾市岩瀬文庫編『創立100周年記念特別展・岩瀬文庫の100点』西尾市岩瀬文庫、2008年)、野村玄「紫衣事件-後水尾天皇譲位の背景」(歴史科学協議会編/木村茂光・山田朗監修『天皇・天皇制をよむ』東京大学出版会、2008年)、野村玄「有栖川宮家」(『歴史読本』編集部編『消えた名家・名門の謎』新人物往来社、2012年)、野村玄「3代将軍家光から4代将軍家綱へ」「慶安事件」(『歴史読本』編集部編『徳川15代将軍継承の謎』株式会社KADOKAWA、2013年)など。

2016年 7月更新

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