この専門分野では、ドイツ語が汎用言語として流通していた歴史の長い中東欧地域を対象とし、その多様な文学現象・文化現象を研究します。そのために、まずなによりドイツ語テクストを精密に理解・分析する力を養ういっぽう、思想史・社会史・メディア史といった問題領域との関連を重視する、文学研究の新しいすがたを探求しています。
現在のスタッフは、思想史や美術史、音楽学といった隣接する分野の研究者との積極的な交流を重視し、学内外のさまざまな共同研究に参画しています。今後とも、ドイツ語文化を基軸に据えつつ、研究の社会的広がりを重んじていきます。
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教員紹介
教授 三谷 研爾 教授 吉田 耕太郎 特任講師(常勤) Johannes Waßmer
教授 三谷 研爾
みたに けんじ 1961年生。1987年、大阪大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学、大阪大学)。大阪府立大学助手、講師、大阪大学准教授をへて2008年4月から現職。 専攻:ドイツ、オーストリア文学および文化研究 |
- 研究紹介
- カフカに導かれて始まった私の研究は、一方では現代批評や物語理論へ、もう一方ではウィーンやプラハなどの中欧地域の都市文化研究へと展開してきました。ここしばらくのテーマは、典型的な多民族都市だった世紀転換期のプラハを対象に、近代都市の空間がどのように形成され、また表現されたかを検討することです。この先にはさらに、絵画や写真といったビジュアルな媒体と文学テクストの関係という問題が浮上してきそうです。さらに、近代日本におけるドイツ文化受容というテーマも、歴史社会学の成果をふまえて、いずれ本格的に手がけてみたいと考えています。
- メッセージ
- もっとも広い意味での文学とは、視覚メディア(絵画や映像など)、聴覚メディア(音楽など)とならぶ、人間の経験を表現・伝達する有力なメディア=言語にかかわる現象の総体だと言えます。そこには、そうした表現のディテールを生み出した、地域や時代に固有の思考や記憶が深く刻みこまれていますし、そうであればこそ読者のあいだを広範囲に流通して、社会全体の意識を方向づける作用を発揮したケースも少なくありません。このようなメカニズムを掘り起こしていくとき、歴史学や社会学、哲学や美学とも相互に乗入れる新しい文学研究の、豊かな鉱脈が見えてくるはず。探索作業をともにする愉快で、野心的な仲間を待っています。
- 主要業績
- 『幻想のディスクール―ロマン派以降のドイツ文学』鳥影社(共編著、1994);『科学思想の系譜学』ミネルヴァ書房(共著、1994);アンダーソン『カフカの衣装』高科書店(共訳、1997);『中欧―その変奏』鳥影社(共編著、1998);『視覚と近代』名古屋大学出版会(共著、1999);『世紀転換期のプラハ』三元社(単著、2010)
- 概説・一般書
- 『ドイツ文化史への招待 芸術と社会のあいだ』大阪大学出版会(編著、2007)
2018年 11月更新
教授 吉田 耕太郎
よしだ こうたろう 1970年生まれ。東京外国語大学外国語学部(ドイツ語学科)卒。2007年、東京外国語大学地域文化研究科博士後期課程単位取得退学。学術修士(東京外国語大学)。京都外国語大学、立命館大学、京都大学人文科学研究所等での非常勤講師、2009年4月より大阪大学文学研究科准教授を経て、2023年4月より現職。 専攻:ドイツ文化史・思想史。 |
- 研究紹介
- 18世紀ドイツ語圏の文化や思想について研究しています。当時の雑誌や新聞などの活字メディアを手がかりに18世紀が直面していた問題をひとつひとつ確認しながら、小説や戯曲などの文学作品を読み直す作業を続けています。ここ数年は児童文学というジャンルの成立について調べています。
- メッセージ
- 横断的または脱領域的という言葉が、一時期もてはやされましたが、文学作品の鑑賞に厚みをくわえ、ひとつの研究へと深化させるためには、法制史、経済史、宗教史、美術史などなど、興味のおもむくままに関連する領域を渉猟することも必要になるのではないでしょうか。このような知的探求を実現するための刺激と環境を、提供したいと思っています。
- 主要業績
- 「不安としての少女―少女像の誕生とその歴史的意味についての考察」(『少女のイメージ―18世紀の場合』、日本独文学会研究叢書、2008年);Reiseführer im 18. Jahrhundert. - Kulturelle Hintergründe und Nachwirkungen des enzyklopädischen Reiseführers( Reise - und Migrationsliteratur - Kulturanthropologische Perspektiven 、日本独文学会研究叢書、2007年)
- 概説・一般書
- 『学びのシラバス』萌書房(共著、2009年);『ドイツ文化史への招待』大阪大学出版会(共著、2008年)
2023年 4月更新