西井麻里奈さん

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日本学 博士後期課程(2018年3月修了) 
早稲田大学社会科学総合学術院先端社会科学研究所 助教

 広島をフィールドとする近現代史研究、特に戦災都市復興について民衆の経験から研究しています。他大学の学部生であった頃から、戦争が、その後を生きる人間の生活や記憶・地域社会にいかなる影響を残すのか、ということに関心がありました。大学院進学のために家を出るという選択が、家庭の事情・価値観と合わず、悩みましたが、「新しい環境でもっと学びたい」という思いから、地元を離れ、阪大の大学院への進学を決めました。

 当時は、オリジナルな研究テーマが明確に定まらないことに加え、研究発表が非常に下手だったので、博士論文につながる課題設定が出来るまでは本当に大変でした。しかし、進学によって、学内外、フィールドでの知的な出会いにとても恵まれました。自由でサポーティブな雰囲気のもとでの論文指導や、多種多様な研究テーマを持つ先輩方とお話しできる研究環境に支えられ、自分の視野の狭さを幾度も反省しながら、研究に取り組むことができました。ただし、生活面での不安・苦労が大きかったのも偽らざるところです。特に博士課程では、研究への経済的サポートを得るチャンスがあれば、とにかくアプライすることも大切です。

 在学中の講読ゼミや、自主的な読書会を通じて広がった読書経験は、現在の研究・教育にも生かされています。ゼミで先生方や先輩方がおっしゃったことが、ふと思い出されて本を手に取る、ということもよくあり、逆に「なんであの時ちゃんと勉強しておかなかったかな」と反省することもよくあります。また、日々の研究活動を支えるのは、自分の研究発表を面白がってくれる人たちとの、学内外での広い出会いでもあります。そのための準備をし、うまくいかなかったことを学友・先生方と共有・反省し、次につなげる大切な場所が、所属研究室でした。乗り越えなければならないことも多々ありますが、阪大人文学研究科という場をのびのびと生かして研究する時間が、みなさんにとっての良いステップになることを願っています。

※ご勤務先などは2023年3月現在のものです。