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日本文学

日本文学は、上代から、中古・中世・近世・近現代にいたる、各時代の日本の文学を研究の対象とする。個々の作品の詳細な読解をはじめとし、作家、時代思潮などについて、さまざまな方法によってアプローチし、これまでも大きな成果を得てきている。所属するのは、飯倉洋一教授(近世文学)、滝川幸司教授(平安文学)、斎藤理生教授(近現代文学)、勢田道生准教授(中世文学)で、このほか定期的に学外から非常勤講師を迎えている。
大阪大学国語国文学会の機関誌「語文」を年2回発行、大阪大学古代中世文学研究会では月1回の研究発表会と年2回の「詞林」の発行などを行い、大阪大学近代文学研究会では「阪大近代文学研究」を刊行している。上方文藝研究の会は学外の研究者とも連携して「上方文藝研究」を刊行している。

教員紹介

教授 飯倉洋一教授 滝川幸司教授 斎藤理生准教授 勢田道生准教授 渡邊英理

教授 飯倉洋一

いいくら よういち
1956年生。1985年九州大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)(九州大学、1998年)。九州大学助手・山口大学専任講師・同助教授・同教授・大阪大学助教授を経て、2004年4月より現職。
専攻:日本近世文学
研究紹介
上田秋成の言説を思想史的文脈において考察する試みから出発し、現在は秋成とその周辺の人物の作品を「人と人とを繋ぐ」機能をもつものとして考察しています。また近世の「奇談」と呼ばれた作品の特質、近世中後期の京坂文壇などにも関心があります。実証的な研究方法を基盤において、近世という時代に即した作家・作品の魅力を明らかにしたいと考えています。
メッセージ
近世文学研究の対象には、古典として認知されている有名な作品以外に、数限りない面白いテクストが存在し、その魅力の解明が待たれています。作品のみならず、人物・文壇・出版機構から学問・芸能にいたるまで、あらゆる文化事象が近世文学研究の対象です。それらは、人文系学問の持ちうるあらゆる問題意識に様々な示唆を与える豊饒な世界だと私は思います。
主要業績
『佚斎樗山集』(国書刊行会、1988);『秋成考』(翰林書房、2005);『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008);「近世文学の一領域としての「奇談」」(『日本文学』61-10、2012)
概説・一般書
『読本【よみほん】事典』(分担執筆、笠間書院、2008);『上田秋成―絆としての文芸』(大阪大学出版会、2012);『なにわ古書肆鹿田松雲堂五代のあゆみ』(共編、和泉書院、2012)

2018年 11月更新

教授 滝川幸司

たきがわこうじ
1969年生。1998年大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)(大阪大学)。
1998年奈良大学文学部専任講師、2003年同助教授、2007年同准教授、2013年同教授、2015年京都女子大学文学部教授。2019年10月より現職。
専攻:平安文学

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研究紹介

専門は、平安時代の文学で、特に和歌と漢詩文。現在ではあまり評価されないものの、当時の貴族が表現に意を用いた、公式な場、集団の場での和歌や漢詩文、それに伴って、天皇がどのように文学、文学の場と関わるのか、あるいは、当時の官僚(貴族)にとって文学・学問とは何かを考えています。そのためには文学資料だけではなく歴史資料の読解も必要となりますが、歴史的には注目されない、中下級貴族のリアリティを感じることができます。

メッセージ
なぜ千年も前の作品を読むのかといえば、〈日本文学〉であるのに、自分とはまったく異なる環境で、まったく異なる世界を見出せるからです。私たちが実体的に経験できることなど限られているからこそ、様々な文学作品を読み、その多くが共感できないものであればこそ、にも拘わらず、理解しようと努めることで、自分の常識・思考範囲の狭さを撃つのだと、常に考えています。〈日本文学〉と区分けされていますが、考えれば考えるほど、〈日本〉〈文学〉という概念が揺らぎます。それをこそ体験して欲しいと思います。
主要業績
『天皇と文壇 平安前期の公的文学』(和泉書院、2007年);『菅原道真論』(塙書房、2014年);『新撰万葉集注釈巻上(一)(二)』(共編、和泉書院、2005、2006年);『菅家文草注釈文章編第一冊・第二冊(巻七上・下)(共著、勉誠出版、2014、2019年)
概説・一般書
『平安文学研究ハンドブック』(共著、和泉書院、2004年);『文化装置としての日本漢文学』(共著、2019年、勉誠出版);『菅原道真 学者政治家の栄光と没落』(中公新書、2019年)

2019年 10月更新

教授 斎藤理生

さいとう まさお
1975年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(大阪大学、2004年)。群馬大学教育学部講師、同准教授を経て、2014年4月より現職。
専攻:日本近現代文学
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研究紹介
太宰治と織田作之助を中心に、昭和期の小説について研究しています。「無頼派」としてのイメージが強い2人の作家ですが、作品そのものをもっと丁寧に読んだり、歴史的に位置づけたりする必要があると考えています。これまでは主に、太宰の小説を、〈笑い〉を喚起するしくみに注目して読み解いてきました。近年は、作之助の小説が先行作品や同時代言説、発表媒体をどのように活かした作りをしているのかを解明することにも関心を持っています。
メッセージ
文学作品は、自室で寝転びながら読んでも楽しめます。しかし違う味わい方もあります。表現のしくみを丁寧にたどったり、典拠と比べ合わせたり、すぐれた先行研究を踏まえて読み直したり、さりげなく使われている言葉の発表当時の意味合いを調べたり、顔の見える相手と議論したりする。そのようなアプローチによって初めて見えてくる文学の魅力を、一緒に追究できればと思います。
主要業績

『新世紀 太宰治』(共編著、双文社出版、2009);『太宰治の 小説の〈笑い〉』(双文社出版、2013);「「二十世紀旗手」評釈(1)~(5)」(「太宰治研究」2013.6~2017.6);「方法としての坂田三吉―織田作之助の作品と将棋―」(「日本近代文学」2017.5)

概説・一般書
「太宰治作品ガイド100」(共著、「文藝別冊 太宰治」河出書房新社、2009);「小林秀雄「政治家」解説」(「新潮」2015.9);『テクスト分析入門』(共著、「第15章 語れないことを読む─テクスト分析の先へ─太宰治「桜桃」Ⅱ」担当、ひつじ書房、2016)

2021年 7月更新

准教授 勢田道生

せた みちお
1980年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(文学)(大阪大学、2011年)。大阪大学大学院文学研究科助教、日本学術振興会特別研究員(PD)、大阪大学大学院文学研究科特任講師(常勤)を経て、2017年10月より現職。
専攻:日本中近世文学
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研究紹介
南北朝時代の南朝に関する書物について、特に最近は、近世に成立した南朝史受容に関する書物について研究しています。南朝という存在は、近代に至るまで、歴史観や国家観のみならず、文学や思想、また地域の文化にも大きな影響を与え続けてきました。その展開の様相を、個々の文献の基礎的な調査を通じて明らかにしたいと考えています。関連する問題として、儒学者や国学者の思想、また、南朝史受容に関わる知識人の交流や書物の流通にも関心を持っています。
メッセージ
例えば100冊の書物があるとして、その中から10冊を選んで本棚に並べるとします。その選択と配列には、その人の価値観が現れるでしょう。さらに書物を加えてゆくと、本棚の秩序は変化してゆきます。では、私たちはどのような書物を選び、どのように並べればよいのでしょうか。正解は無いでしょう。が、既存の枠組みに依存せず、さまざまなことに好奇心を持って本棚を構成することは、人文学の研究において非常に重要なことだと思います。
主要業績
「『南方紀伝』・『桜雲記』の成立環境―『桜雲記』浅羽成儀作者説をめぐって―」(『国語国文』78巻11号、2009年11月);「『北畠准后伝』と神戸能房編『伊勢記』」(『語文』97輯、2011年12月);「津久井尚重『南朝編年記略』における『大日本史』受容」(『近世文藝』98号、2013年7月);「安積澹泊『大日本史賛藪』―歴史人物のキャラクター辞典―」(井上泰至・田中康二編『江戸文学を選び直す 現代語訳付き名文案内』(笠間書院、2014年6月)
概説・一般書
「歴史の舞台 吉野を歩く 桜の名所・吉野山で南朝行宮をしのぶ」(週刊朝日百科『週刊 新発見!日本の歴史』通巻22号、朝日新聞出版、2013年12月)

2018年 10月更新

准教授 渡邊 英理

わたなべ えり
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得後満期退学。博士(学術)(東京大学、2012年)。宮崎公立大学人文学部准教授、静岡大学人文社会科学部准教授などを経て、2021年4月より現職。
専攻:近現代日本語文学
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研究紹介
中上健次、崎山多美、干刈あがたなど、近現代の日本語文学を研究しています。これまで、これら作家のさまざま路地を描く小説群に着目し、「戦後文学」/「現代文学」を(再)開発の視座から再考する作業を試みてきました。(再)開発を問うことは、近代そのものを問題化することにも通じており、近代明治期から現代までの空間編成とそれに相即した言説編成、その変遷過程にも関心を持っています。また、沖縄奄美群島に所縁の文学や「越境文学」を、ジェンダーや脱植民地化などの観点から考察することも続けています。
メッセージ
わたしたちの日常世界は、明示的なルールでのみ成立しているのではなく、空気のように不可視化された規則に拘束されたり、見えない境界線に分断されたりもしています。文学の言葉は、この目に見えにくい規範や境界を可視化し、同時に、それらに転覆や逸脱、撹乱を及ぼすことで、現実を動揺させ異化することもします。言わば、目に見えない現実までをも描きだし、現実をまだ見ぬ世界へ書き換えようとする。いまある世界を所与のものとしない文学の可能性を考えていきたいと思います。
主要業績
単著『中上健次論』(インスクリプト、2021);「開発と「公共性」『戦後日本を読みかえる三』(臨川書店、2019);「動物とわたしの間」『翻訳とアダプテーションの倫理』(春風社、2019);「開発と言葉」(『社会文学』50号、2019);「沖縄から描くアジア像」『アジアと戦争の記憶』(勉誠出版、2018)、「激情から路地へ」『ユリイカ』2008年10月号(青土社);「流動する者たちをつなぐもの」『道の手帖 小林多喜二と蟹工船』(河出書房新社);「儚い者たちと相互扶助」『現代思想』2007年3月号(青土社)
概説・一般書
共編著『クリティカル・ワード 文学理論』(フィルムアート社、2020);『戦後文学の〈現在形〉』(平凡社、2020、李良枝・中上健次・崎山多美の項);「「体を具なった言葉」から生きる場の痛みに触れる―上間陽子『海をあげる』」『週刊金曜日』(2021年2月12日号);「「規格外」の生や小さな声を肯定する―温又柔『魯肉飯のさえずり』」『図書新聞』3473号(2020年11月28日); 「「アジア的身体」の現在形―梁石日・中上紀『タクシーガール』」『週刊金曜日』(2019年8月30日号);『漱石事典』(翰林書房、2017)

2021年 5月更新

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