沿革

文学部沿革

誕生

大阪大学文学部の源流は、1724年(享保9年)に大阪の有力町人によって設立され、幕末までのおよそ150年ほどのあいだにいくたの人材を輩出した学問所「懐徳堂」にありますが、実質的な歴史は、1948年に設立された大阪大学法文学部にはじまります。この時は、法学科、経済学科とならぶ文学科として出発しましたが、翌年、文学部として独立しました。哲学、史学、文学の3学科14講座を擁してスタートを切り、1952年には教育学科を設置して4学科19講座の編成となりました。

ユニークな学科の新設

附属図書館の横に位置する文学部本館 1960年代の半ばには、既設の心理学、社会学、教育学の諸講座を統合して文学部から独立させる新学部構想が具体化し、1972年に人間科学部の創設となりました。新学部の設置のために文学部から9講座を振り替えて規模を縮小したため、その後は文学部の整備と充実が重要な課題となりました。既設学科の充実とともに、新しい構想の学科が模索され、1973年には国立大学では唯一の美学科の新設が決まりました。さらに1974年に設置された大学院の日本学講座に対応する学部組織として1986年には日本学科が設置され、5学科、16専攻、32講座を擁する文学部に成長しました。1995年には学部の5学科の区分を廃して1学科に統合し、人文学科としました。これとともに小講座制から大講座制に移行し、哲学、日本史、世界史、考古学、国文学・東洋文学、西洋文学・語学、芸術学、芸術史、日本学、人文地理学、日本語学の11講座に整備されました。

大学院重点化と魅力あふれる20の専修

1998年・1999年に、大学院の研究教育を主体にしつつ学部教育を推進するという構想のもとに、大学院重点化が行われました。それに伴って、学部には20の専修が置かれました。

大学院文学研究科沿革

大阪大学大学院文学研究科の源流も文学部と同様に、江戸時代の町人の学問所「懐徳堂」にありますが、実質的な歴史は、1948年に大阪大学に法文学部が設立され、同時に大学院(旧制)が併設されたことにはじまります。この時の専攻は、哲学、心理学、社会学、国史学、国文学、英文学でした。翌1949年に法文学部の1学科であった文学科が独立して文学部が設置され、文学部は1952年までのあいだに7講座から19講座を擁する学部として急速な発展をみましたが、大学院のほうは1953年に新制大学の大学院の文学研究科として、新たな出発をすることになりました。新制の大学院文学研究科は、哲学哲学史、心理学、社会学、教育学、国文学、英文学、独文学、仏文学の8専攻で構成されていましたが、1955年に史学専攻が増設され、以後は学部の講座増設とともに専攻内の専門分野も拡大し、着実に充実の度を加えていくことになります。

1972年には、人間科学部の創設にともない、心理学、社会学、教育学の3専攻が人間科学研究科に振り替えられましたが、翌1973年には芸術学専攻が、1974年には日本学専攻があいついで設置され、文学研究科はユニークな研究分野を擁する大学院として再生し、以来、人文学研究の諸分野に多数の優秀な人材を送り出して今日にいたっています。

また、1999年から、大学院重点化にともなう新しい体制がスタートし、文学研究科は、文化形態論専攻、文化表現論専攻という2専攻のもとに28の専門分野を配する形に抜本的な改編がおこなわれました。大学院重点化とは、一言でいえば、従来のどちらかといえば学部を基本とする体制から、大学院を中心とする体制への移行であり、いわゆる「大学院大学」への移行ということですが、それには、学位授与制度の整備、社会人学生の積極的な受け入れなど、少なからぬ改革が付随しています。2専攻からなる文学研究科の新しい組織もそうした改革のうちの重要な部分であり、ここに文学研究科は、来るべき新時代にむけた体制を整えたことになります。

さらに、2007年には、既存2専攻に加えて、修士課程文化動態論専攻が設置され、4つのコースが置かれました。この専攻は、現代社会の急激な変化によって生起してきた、伝統的な人文学の体系の中では解明しきれない文化的諸問題に対応して新しい分野横断的な研究を目指し、現代的人文学の素養と高度の言語能力を備えた高度専門職業人を養成することを目的としています。この専攻は、新時代の社会的要請に応えて、既存2専攻の教育・研究を補完するものであると言えます。

2022年4月1日、大学院文学研究科と大学院言語文化研究科を統合し、5つの専攻(人文学/言語文化学/外国学/日本学/芸術学)から成り立つ「大学院人文学研究科」が新設されました。

年表

1948(昭和23)年

大阪大学の法文学部文学科として創立。

哲学科
哲学哲学史第一講座、支那哲学講座、心理学第一講座、社会学第一講座
史学科
国史学講座
文学科
国文学講座、英文学講座

1949(昭和24)年

新制大学の文学部となる。

哲学科
哲学哲学史第二講座、倫理学講座、教育学第一講座、教育学第二講座
史学科
東洋史学講座、西洋史学講座
文学科
独文学講座

1950(昭和25)年

新制大学の文学部となる。

哲学科
心理学第二講座、社会学第二講座
文学科
仏文学講座

1951(昭和26)年

新制大学の文学部となる。

哲学科
教育学第三講座

1952(昭和27)年

教育学科の分離独立。教育学第四講座の増設とともに、哲学科より教育学科として独立。

1953(昭和28)年

新制大学院として文学研究科の設置。

哲学科
印度哲学講座

1954(昭和29)年

既設の支那哲学講座を中国哲学講座と改称。

教育学科
教育学第五講座

1956(昭和31)年

史学科
人文地理学(講座外のため専任講師のみ)、国史学第二講座

1960(昭和35)年

文学科
英文学第二講座

1963(昭和38)年

国史学第二講座、及び英文学第二講座をそれぞれ日本思想史講座、英語学講座と改称。

1964(昭和39)年

文学科
国語学講座

1966(昭和41)年

史学科
西洋近世史講座

1972(昭和47)年

人間科学部が創設されることとなり、その結果、文学部より教育学科5講座と、哲学科所属の心理学2講座、社会学2講座が人間科学部に振り替えられた。

1973(昭和48)年

美学科創設。

1974(昭和49)年

日本学講座設置(大学院のみ)

美学科
美学講座、美術史第一講座

1975(昭和50)年

美学科
芸能史・演劇学講座、文芸学講座
日本学専攻
前記の日本学講座を廃し、大学院のみの日本学専攻に日本文化学講座と比較文化学講座を設置。

1976(昭和51)年

美学科
美術史第二講座、音楽学講座

1977(昭和52)年

日本学専攻
社会言語学講座
芸術学専攻
学部の美学科に対応して文学研究科に芸術学専攻を設置。

1979(昭和54)年

史学科
アジア諸民族史講座

1986(昭和61)年

日本学科創設(従来は大学院のみにあった日本学専攻に対応)。文化交流史講座、現代日本語学講座、日本語教育学講座

1988(昭和63)年

史学科
考古学講座

1992(平成4)年

文学科
比較文学講座

1993(平成5)年

文学科
アメリカ文学講座

1995(平成7)年

人文学科創設 既設の5学科16専攻32講座を統合・再編成し、新たに11講座20専攻よりなる人文学科を設置。

1998(平成10)年-1999(平成11)年

大学院機構改革によって、文学研究科に7講座よりなる文化形態論専攻、および6講座よりなる文化表現論専攻(1999年度より)を設置。学部には、人文学科に20の専修が置かれる。

2004(平成16)年

国立大学法人大阪大学設立

2007(平成19)年

大阪外国語大学と統合。

文化動態論(修士課程)設置。

2022(令和4)年

大学院文学研究科と大学院言語文化研究科を統合し、大学院人文学研究科を新設する。